mruby on EFI Shell
mruby を 32bit, 64bit の EFI Shell 上で動かしてみました。
mruby
mruby は、Ruby の作者であるまつもとさんが開発されている「組込み向け軽量 Ruby」の実装です。
詳しくは ITPro の紹介記事などをご覧ください。
今回は、この mruby を EFI Shell 上で動かしてみました。
EFI と EFI Shell
EFI
EFI もしくは UEFI とは、BIOS の置き換えのために Intel などが中心となって策定したファームウェアの仕様です。
最近の PC はほぼ UEFI 対応していますが、だからといって、すべてのもので EFI Shell が立ち上げられるとは限りません。
また、UEFI Boot 自体も、まだそれほど一般的ではないかもしれません。
ベンダによっては、UEFI なのに、UEFI Native Boot ではなく Legacy Boot させている (つまり CSM Boot させている) ところも多いようです。
ただし、Windows 8 が出てくるころには、状況も変わってくると思います。
EFI Shell
詳しく書くときりがないので EFI の詳細については省略しますが、その仕様の中で、EFI Shell という DOS や bash のようなシェル環境が定義されており、実際にいくつかの UEFI Boot 対応 PC では、Firmware 内に組込まれています。
BIOS Setup 画面で Launch EFI Shell のような項目があれば、それが該当します。
また、EFI Shell バイナリを USB メモリなどから起動させることで起動することもできます。
で、今回、この EFI Shell 上で動くように mruby をコンパイルしてみました。
動作例とダウンロード
ダウンロードは GitHub から可能です。
展開して得られるバイナリのうち、mruby.efi
は 32bit 用、mruby64.efi
は 64bit 用です。
VMware Player 上で動かすと、以下のようになります。
図は [ 10, 2, 4, 1 ].sort.each{ |i| p i }
を引数で直接指定して実行したところです。
ファイルを渡してももちろん動作します。
作業記録とソースコード
以下は、作業記録です。
ソースコード
EFI Shell アプリケーションを作るので、EDK と mruby の二つが必要です。
EDK は edk2_for_mruby として、 mruby は mruby_efi_shell として、どちらも GitHub 上に置いてあります。
まず、edk2_for_mruby をダウンロードして展開し、続いて AppPkg/Applications/mruby
に mruby_efi_shell を展開します。
やったことがなかったので、サブモジュールなどの設定はまだしていません。
ビルド環境
少し古いですが、現在の Mac や Let's note を使い始める前に使っていた Ubuntu 9.10 (Karmic Koala) でビルドしました。
ただし、これはすでにサポート期限が切れているので、これから始める人は、12.X をインストールした方がよいでしょう。
(余談ですが、私の実機では、 12.X をインストールすると、画面の Refresh Rate がおかしくなったので、面倒になってインストールをやめました。)
また、32bit, 64bit いずれの mruby.efi をビルドする場合でも、32bit の Ubuntu で可能です。
ただし、64bit 版を試すには、VMware Player で 64bit の EFI をエミュレートできる必要があります。
よく分かっていませんが、64bit CPU を搭載している必要があるだろうと思います。また、 Intel-VT などが有効になっている必要があるかもしれません。
あとは、EDK の How to build を見ながら設定していきます。
Unix-like systems でのビルド方法にも、必要なライブラリ (build-essential など) が書かれているので、入れていなかったらインストールします。
ソースの変更
ビルドするために、いくつか変更を加えました。
詳しくは GitHub の履歴を見ていただければいいですが、悩んだのは EDK 側のバグでした。
EFI Application で C の標準ライブラリを使えるようにするためのラッパが用意されているのですが、その中の一つである StdLib/LibC/Main/Main.c
の main
関数の宣言が間違っていました。
正確には、それを呼び出しているサンプルである AppPkg/Applications/Main/Main.c
との整合性がとれておらず、呼び出し規約が異なったものになっていました。
そのため、偶然、32bit 環境では動作するのに、64bit では動作せず、かなり悩むはめになりました。
それ以外は、y.tab.c
のように動的に生成されるものをいくつかあらかじめ作っておくなどをしました。
なお、EDK 側に関数が定義されていないものがあり、現状は math モジュールは除いてあります。
今後、必要なら EDK 側に実装するなどして、対応しようと思います。
テスト環境
テスト環境には VirtualBox と VMware Player を用いました。
VirtualBox では、「システム」の「EFI を有効化」にチェックをすることで、Bootable Device がなければ、32bit の EFI Shell が自動で立ち上がります。
VMware Player では、*.vmx
ファイルに、以下の行を加えることで EFI Boot させることができます。
efi
は小文字にする必要があります。
firmware = "efi"
これで、 Bootable Device がなければ、EFI Shell が自動で立ち上がるはずです。
なお、私の環境では Network の部分でハングしていたので、 Network デバイスを削除しておきました。
以上で 32bit, 64bit ともにテストができるはずです。
今後
今後は、EFI の機能を簡単に呼べるようなライブラリを作っておこうと思います。
少なくとも、Boot Service, Runtime Service ぐらいは Ruby の関数として提供しようと思います。
可能なら、すでに EDK に入っている Python のように、mruby を EDK に含めてもらいたいです。
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