Subversion Ajax View
Subversion リポジトリを Ajax で見易く表示できるようにしてみました。
概要
以下が動作サンプルです。
ローカルに設置した mruby のソースを見ているところです。
Subversion リポジトリを公開しているサーバー側に設置するスクリプトです。
以下のような特徴があります。
- サーバーサイドに置きますが、PHP, Ruby on Rails などのスクリプト環境を必要としません。 pure JavaScript で書かれています。
そのため、ファイルを差し替えるなどすれば、 VisualSVN Server を Windows 上で動作させているような場合でも、見た目だけ容易に変更できると思います。 - Ajax を活用しているので、静的なページ遷移を発生させずにスムーズなアクセスが可能です。
- ログもブラウザ上で見ることができます。
- 古いリビジョンも見ることができます。
- 現在のところ、差分表示はできません。
将来、対応するかは未定です。 - Internet Explorer には対応していません。
静的な従来の表示がされるだけです。今後、対応するかも未定です。
背景
最近は Subversion よりも、分散型の git や mercurial などが人気ですが、特に企業などではまだまだ Subversion を利用しているところも多いと思います。
特に、開発者ではない人達も閲覧する場合、ブランチが単なるディレクトリである、といったような Subversion の単純化された概念は受け入れられやすいように思います。
そのため、より Subversion を利用しやすくなればよいと思い、こんな拡張機能を作ってみました。
設置方法
詳しくは GitHub の README.md を見てください。
設置してみたいのによく分からないという方は、コメント欄などでお聞きください。
- ソースをダウンロードしてください。
ダウンロードページから subversion_ajax_view.zip をダウンロードし、 Subversion リポジトリのあるサーバーの公開されたディレクトリに展開します。
ここでは、例として/var/www/svn_ajaxview_dir
に展開し、http://server/svn_ajaxview
としてそのディレクトリにブラウザからアクセスできるとします。 svn_ajaxview
以外の場所に置くときは、/var/www/svn_ajaxview_dir/svnindex.xsl
を開き、中のlink
,script
要素のhref
,src
の該当部分である二箇所を適宜修正してください。
この時点で、ブラウザからhttp://server/svn_ajaxview/svnindex.xsl
やhttp://server/svn_ajaxview/ajaxview/ajaxview.js
にアクセスできるかを確認してみてください。
アクセスできなければ、httpd.conf
の Alias 設定などが正しいかを確認してください。httpd.conf
内のLocation
ブロック内にSVNIndexXSLT /svn_ajaxview/svnindex.xsl
を追記してください。- その後、Apache を再起動してください。
技術的な話
以上はどうでもよい話で、これからが書きたかったことです。
長くなりますが、覚え書きのために書いておきます。
目的
このプログラムを書いた目的は以下の通りです。
- JavaScript について勉強する。
- jQuery を使ってみたい。
- pushState を使ってみたい。
そのため、 Subversion をブラウザ上で綺麗に表示することが目的ではありません。
そういうことであれば、WebSVN などを使うとよいと思います。(PHP を入っていなければ面倒ですが。)
Subversion と WebDAV
Subversion リポジトリを Apache 経由で公開する場合、通常は WebDAV という技術を用いて、つまり WebDAV プロトコルを用いてサーバーとクライアント間でやりとりが行われます。
WebDAV とは HTTP を拡張したプロトコルで、通常の HTTP 1.1 で定義されたメソッドに加え、いくつかのメソッドが定義されています。
HTTP 1.1 では、よく使われる GET
, POST
以外にも OPTIONS
などのメソッドが RFC では定義されていますが、WebDAV ではその他にも PROPFIND
などが定義されています。
Subversion のサーバーとクライアントでは、これらのメソッドを用いて通信が行われています。
XMLHttpRequest で使えるメソッド
Ajax の中核となっているオブジェクトとして、 XMLHttpRequest があります。
これは、 JavaScript 経由でサーバーと通信できるようにするための仕組みです。
この XMLHttpRequest は、 WebDAV のメソッドも発行できるようになっています。
Internet Explorer は知りませんが、少なくとも Firefox, Chrome, Safari では可能です。
確かに W3C の open メソッドの説明や HTTP 1.1 の RFC を見る限りでは、 extension-method
として他のメソッドを受け付けるようになっています。
ということは、 Subversion クライアントが WebDAV 通信をしている以上、 Subversion クライアントが行えることは、すべて Ajax で行えることになります。
(もちろん、ローカルストレージが必要なチェックアウトなどは別です。)
と思ったので、既に存在するかどうかは別にして、「pure JavaScript で Subversion クライアントを作ってみたい」というのがそもそもの動機でした。
今回はビューワを作りましたが、意味があるかは別として、その気になればコミットも可能だろうと思います。
pushState
せっかく Ajax を活用してみたので、 pushState
を活用して、 URL も動的に追従するようにさせてみました。
その他
- Chrome では XML の解析時に
getElementsByTagName
で名前空間を無視して要素を参照できるようですが、 Firefox ではきちんとgetElementsByTagNameNS
で名前空間を指定しないと無理でした。 - あまりきちんとエラー処理していません。
- Subversion の通信の手順の詳細な仕様がよく分からなかったので、Subversion のソースと Wireshark のパケット解析に基づいて実装しました。
なので、何かおかしな挙動があるかもしれません。 - もともとは Chrome の拡張機能として作成していました。
いずれこちらも整理して公開するかもしれません。 - Subversion リポジトリにブラウザからアクセスしたときの見た目を変更する方法は、 Subversion Book の "Customizing the look" に載っていました。
- バグがありましたら、教えていただけると嬉しいです。(対応できるかは未定です。)
というわけで、あまり役には立たないような気もしますが、せっかく作ったので公開してみました。
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